採用面接では、
自分の考え方や経験を話す機会があります。
当然、面接官にアピールしたいところです。
しかし、なぜかうまく伝わらない、響かない話になってしまうことも多いものです。
今回は、
面接官に伝わりにくい話とはどのようなものか、注意するべき点について解説します。
この記事を書いた人
大須賀 紀陽 さん
グイレン株式会社
代表取締役
都市銀行勤務を経て起業。
人財研修、コーチング事業を展開中。金融業界で得た経験と、哲学、歴史、リーダーシップ論等を踏まえたコーチング理論を構築し、セミナー、ウェブを通して発信する。
HP:https://skaughh.com
結論から書くと、伝わらない原因は、
当たり前のこと、想像の域を出ないこと、相手が決めることの3つにあります。
それらを一つずつ見ていきましょう!
当たり前のこと
面接官が、当たり前のことだと受け取ってしまえば、いくら論理的にわかりやすく説明をしたところで、良い反応は期待できません。
当たり前という感覚は人によって違います。
自分にとっては当たり前ではないことでも、他者からすれば当たり前ということもあります。
「横断歩道を横切ろうとする人がいたから、停車してあげたんだ!」
親切な行為ではありますが、勢いよく自慢されても、本来そういうルールであり、感心する人は多くはないでしょう。
つまり、自分の思いだけで盛り上がってしまうと、面接官との温度差が発生してしまう可能性があるということです。
自己PRをするときに、このような発言をした場合、どうでしょうか。
「私は、やると決めたことは、最後までやり通す人間です」
エピソードの内容に、突出したものがあれば別ですが、多くの場合「途中で投げ出さないのは当たり前では?」という印象からスタートすることになるでしょう。
同じエピソードを使うにしても、PRするポイントを別の角度から考えたほうがよいかもしれません。
その他にも、それだけ聞くと、当たり前ではないかと思われそうなワードを紹介します。
志望動機にて、よく聞かれる内容ではないでしょうか。
- 人と関わる仕事がしたい
- 影響力のある仕事がしたい
- 自分を成長させたい
- 人から必要とされたい
これらは、基本的には当たり前の領域かと思われます。
つまり、志望動機の結論ではなく、前提に来るべき内容ということです。
前提から出発して、掘り下げた先に、他の人と差別化できる、自分のオリジナリティがあるのではないでしょうか。
客観的に見れば、多くの人が判断できるのですが、考え込んだり、気持ちが入りすぎたりすると、よくこの状況に陥ります。
「これって客観的に見て当たり前のことではないか?」、「説明する相手にとって当たり前ではないか?」という視点を持つようにするとよいでしょう。
想像の域を出ないこと
誰が見ても、明らかな事実で話すことが重要です。
確かめようのないような話に、強い納得感は伴いません。
「私は、クラスで一番の根性の持ち主だ!」
これは、誰にもわかりません。
クラスの人なら、ある程度詳しく想像できるかもしれませんが、初対面の人であれば理解されることはまずありません。
面接にて、このような主張をPRの中心に持ってきたらどうでしょうか。
「私の長所は、我慢強いところです」
「駅伝でタスキを繋ぐために根性で走って、最後は倒れ込み動けませんでした!」
心打たれるシーンではあります。
しかし、穿った見方をしてしまえば、チームメンバーの目があります。
抜かれてしまった免罪符のような意味合いで、無意識的にそうする人もいるかもしれません。
つまり、結局わからないのです。
我慢強さ、精神的な資質などは、想像するしかありません。
特に精神性に関連したことを自らアピールしようとすると、相手には伝わらないことが多いでしょう。
根本的に比べられないことを話題にするよりも、
具体的な実績や経験を示すか、あるいはそこで考えたこと、後の経験に生きたことを話題とした方が伝わりやすいと言えます。
相手が決めること
本来、相手がどう受け止めるかにかかっているもの、相手が決めることを、自分で決めてしまっているケースも注意が必要です。
境界線は難しいのですが、相手が決めるべきことを断言してしまうと、誠実性がないように思われることもあります。
このような発言はどうでしょうか。
「私は協調性がある人間です」
協調性の有無を決めるのは、自分ではなく、そこで協働した他者です。
この言い方では若干傲慢に聞こえてしまうでしょう。
ここは、アピールポイントではないということです。
言うとしても、「チームで働くことは好きです」くらいでしょう。
繰り返しになりますが、アピールすべきは、
事実(実績)と、そこで自分が考えたことです。
そこにこそ、自分の性格や特性が含まれています。
他にも、安易に「謙虚です」、「思いやりのある人です」、「勇敢な人」のような型に自分をはめて語ることはやめたほうがよいでしょう。
相手が決める結論に勝手に踏み込んで、自分で言ってしまっては、相手も違和感を覚えます。
まとめ
面接官のように、初対面の人にアピールするのであれば、伝え方には注意する必要があります。
基本的には、事実(実績)と自分自身の考え方を示していくしかありません。
必死に伝えているつもりなのに、面接官にわかってもらえない、反応があまりよくないと思ったら、以下の注意事項を振り返ってみることをお勧めします。
- 聞く側が当たり前だと思うようなことを話していないか?
- 根本的には比べられない、証明のしようがない精神的なことを強調していないか?
- 他人が決めるべきことを安易に自分で断言していないか?
面接における自己PRの時間は限られています。
自分の良さをわかってもらえるよう、相手の立場を意識して話を組み立ててみましょう!